
タイトル クライモリ(Wrong Turn)
公開年 2021年(アメリカ)
監督 マイク・P・ネルソン(Mike P. Nelson)
脚本 アラン・B・マッケルロイ(Alan B. McElroy)
製作 コンスタンティン・フィルム、Tea Shop Productions
主演 シャーロット・ヴェガ(ジェン役)/ビル・セージ(ヴェナブル役)/マシュー・モディーン(ジェンの父役)
ジャンル サバイバルホラー/スリラー/社会派ホラー
上映時間 約109分
製作国 アメリカ
音楽 スティーブン・ルカス(Stephen Lukach)
日本配信 2022年(U-NEXT・Amazon Prime Videoなど)
原題 Wrong Turn
2003年に公開されたオリジナル『クライモリ』は、
“道を間違えた若者たちが人喰い一家に襲われる”という、
シンプルで原始的なホラーの傑作でした。
しかし――2021年のリブート版『クライモリ』は、まったく別の方向に進化しています。
血や罠だけではなく、**「文明」「秩序」「支配」**という哲学的テーマを描いた社会派ホラー。
ただのスラッシャー映画ではなく、
**「人間のもうひとつの生き方」**を見せつけてくる作品なのです。
ストーリー(ネタバレあり)
● 道を外れた若者たち
主人公はニューヨークで働く女性、ジェン(シャーロット・ヴェガ)。
彼女は恋人・ダリウスと仲間たち6人で、アパラチア山脈へハイキングに出かける。
地元の老人たちからは「メインルートを外れるな」と警告されるが、
彼らは“もっと自然を感じたい”と、地図にない山道を進んでしまう。
やがて彼らは、森の奥で古代のような石のモニュメントや
落とし穴トラップを発見。
最初はアート作品かと思うが、次第に不穏な気配が漂い始める。
● 一人ずつ消えていく森の中で
突然、仲間のひとりが罠にかかり死亡。
夜になると、テントが襲撃され、別のメンバーが行方不明になる。

パニックに陥ったジェンたちは、地元民の仕業だと思い込むが、
実際は**「ファウンデーション(The Foundation)」**と呼ばれる
山中で独自の社会を築いた人々の仕業だった。

● “もうひとつの社会”との遭遇
ファウンデーションは、
アメリカ独立戦争前から山中で暮らしている閉鎖的な共同体。
外界の文明を“堕落”とみなし、外からの侵入者を厳しく裁いてきた。
捕らえられたジェンたちは、法廷のような場に立たされる。
罪は“ファウンデーションの民を殺害したこと”。
ジェンは必死に弁明するが、
一緒にいた仲間は両目を焼かれ、別の者は処刑されるという残酷な裁きを受ける。
絶望の中で、ジェンはただ一つの選択を迫られる。
> 「ここに残り、我々の一員となるか、死ぬか。」

● 終盤:生きるための選択
ジェンは**“生きる”ために加入を選ぶ。**
やがて彼女は共同体の衣をまとい、
ファウンデーションの長・ヴェナブル(ビル・セージ)の側に立つ。
月日が経ち、ジェンの父親が娘を捜して山に入る。
森の奥でついに再会したジェンは、冷たい瞳で父に告げる。
> 「私はここで幸せよ。」
しかしその夜、
ジェンは父とともに脱出を試みる。
罠をくぐり抜け、ついに外の世界へ。
ファウンデーションの人々を振り切り、二人は命からがら逃げ出す。
● ラスト:本当の「Wrong Turn」
エピローグ。
都会に戻ったジェンは、普通の生活を送っているように見える。
しかし、彼女の家にヴェナブルたちが現れる。
静かに食卓を囲む中、
ジェンは笑顔を浮かべながらナイフを取り出し、
ヴェナブルを刺し殺す。
その後、キャンピングカーを燃やし、
微笑みながら道路を歩くジェンの背中。
「道を間違えたのは、私たちなのか、彼らなのか。」
感想
2003年版が「外側のモンスター」を描いたのに対し、
2021年版は「内側の文明のモンスター」を描いています。
ファウンデーションの人々は“野蛮”ではなく、
秩序・信仰・共同体を持ち、外界よりも統制が取れている。
対して、ジェンたちは“自由”を求めながら、
自然を軽んじ、ルールを破り、侵略者になっていた。
つまりこの映画は、“文明とは何か?”を問うホラーなんです。
リブート版の恐怖は、2003年のようなグロではなく**「静寂」**。
リブート版『クライモリ』は、
“森の中で殺される話”ではなく、
“どんな社会に生きるか”を選ぶ話。
血よりも、思想の暴力が恐ろしい。
そしてジェンが最後に自分の手で運命を断ち切るラストは、
ホラー映画というより人間ドラマの極致です。
「誰が正しいのか?」
「何が野蛮で、何が文明なのか?」
その問いの答えは、映画が終わっても出ない。
むしろ観客自身が“Wrong Turn=道を間違えた側”なのかもしれない。
🎯 総合評価(5点満点)
項目 評価 コメント
ストーリー ★★★★★ 哲学的で完成度が高い
キャラクター ★★★★☆ 主人公の変化がリアル
恐怖演出 ★★★★☆ 静けさの中に潜む緊張感
グロ度 ★★★☆☆ 残酷だが控えめで洗練されている
メッセージ性 ★★★★★ “人間の正しさ”を問う強烈なテーマ性
2003年版
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